【第二回目】業種の違う５人の事業主とだから出来たこと。まち起業シェア店舗から学ぶ新しい発想。
勝川にあるカフェ百時（ももとき）は、若手の経営者がシェアしてそれぞれの事業を行う、まち起業シェア店舗“TANEYA”内に店舗を構えています。このような形態のシェア店舗は東海地区では初の試みとのこと。異業種の人たちが協力し合って進めた店舗とは？ 引き続きカフェ百時の店主、伊佐治さんにお話をうかがいました。
interview : 荻原洋介
「まち」を守るための取り組み。
荻原：私が育った時代の勝川もそうでしたが、相変わらずこの辺りは活気がありますね。
伊佐治：そうですね。空き店舗ができると、勝川の商業開発に携わっている会社が引き継いでくれるんです。勝川の商店街の雰囲気を壊さないため、空き店舗に入るお店を選定したり。まちづくりとして取り組んでいらっしゃる。この店舗もそういった取り組みの一環でした。古民家を改装して、この一軒に５つの事業主が入りました。
荻原：二階に子どもたちが上がっていきましたよね。なにやらとても賑やかですね。
伊佐治：英会話教室ですね。幼稚園帰りの子が英語で先生と話しながらやってきます。そのうち、お迎えのお母様方がいらっしゃいますよ。ここは他に、ヨガ教室、システム開発、はんこ販売などの事業主が入り始まりました。
荻原：全くの異業種ですね。
異業種間から生まれる発想が、成長を加速させる。
伊佐治：そうなんです。実を言うと、始まる前はかなり戸惑いました。もし他の事業主の方と合わなかったらどうしよう…と不安だったからです。古民家が好きなので、店舗の感じは気に入ったけど、やっぱりやめちゃおうかなとも。
荻原：確かに。全くの異業種というのは不安かもしれませんね。
伊佐治：最初の心配はすぐに吹き飛びました。今まで一人で考えていたお店の宣伝や経営方針など、事業主5人で協力し合い、5倍の頭で考えることができるようになりました。コラボレーションすることで新しい取り組みが生まれたり、
足りないところを誰かが補ったり。相乗効果で皆が成長し合えている感覚があります。真剣に店舗のことを考え、前向きに協力しあえる仲間たちに出会えたことは大きかったです。
“TANEYA”という、店舗名に込められた思い。
伊佐治：この店舗の名前は“TANEYA”というのですが、もともとここが種苗店だったんです。近所では、そこで買った種や苗は、よく成長すると評判だった。そんな縁起や、一人一人が花咲くようにという思いで“TANEYA”と皆で名付けました。
荻原：私たちのマイタウン薬局という名前は、「地域の方々に愛される薬局に」という意味を込めています。
地域医療に通ずるもの。
荻原：地域医療を充実したものにするため、医師や看護師、介護士の方々と協力しあって進めることがあります。それぞれの得意分野を持ち寄って、役割分担し、前進していく感覚はとてもよく分かります。現在、介護施設で進めている取り組みがあるのですが、同じ方向を向いているものの、考える角度がそれぞれ役割によって違うので、調整しあえれば更に良い方向に向かっていける。お互いを尊重しあっているからだと思います。
伊佐治：仲間がいるってことも私には刺激になっています。
荻原：そうですね。我々は、まだ仲間と感じるほど連携できているかは正直不安ですが…。そう目指したいです。
私はマイタウン薬局の中で、薬剤師という立場でない分、このように外に出る機会も多いのですが、異業種の方々のお話を聞くと勉強になります。そもそもこの企画も、薬局の可能性を探るため外に出ていくという目的もありますし。
…続く
過去の記事
- 「カフェ百時（ももとき）」伊佐治素美
- 古民家をリノベーションした起業シェア店舗に入るカフェの代表（店主）。過去の店舗デザイン、インテリアの仕事を活かし、寛げる空間を作り上げている。お客様は、それぞれの目的でゆっくりとカフェに訪れてくれたらいいと、こだわりを主張しすぎないおもてなしを目指している。
住所：愛知県春日井市旭町1丁目11（勝川大弘法通り商店街内）
http://ameblo.jp/momotoki-m02/ - 荻原洋介
- 大学卒業後、産業機械設備商社にて営業、自動車部品メーカーにて生産管理やトヨタ方式現場改善を行い、その後マイタウン薬局に入社。マイタウン薬局では本部に所属し、人財の採用業務や取引先との交渉等々を行っている。
趣味：スポーツ観戦（主にサッカー）
好きな言葉：『学ぶ心さえあれば、万物すべてこれ我が師である。』松下幸之助
